実務家教員、人生の岐路で生きる事に挫折した

エンジニアから実務家教員になった筆者が、再び人生の岐路に立って、生きる事に挫折するまでの記録を綴るblogです。

大学教員への道、詰みました

 本日、9月末日をもって、このblogを締めくくりたいと思います。

 その理由は、今月面接審査に臨んだ2件とも、不採用が濃厚となったためです。

 以前の記事にも書きましたとおり、今月の面接審査は自分にとって全力で臨んだものであり、一連の転職活動において自分が持てる全力を出し切ったと自負しておりました。その上での結果であれば、もう、私は大学教員になることは一生無理だと覚悟を決めました。

  • 大学教員公募への応募:23件
  • 書類審査落ち:20件
  • 面接審査:3件(北九州、大阪、新潟)
  • 面接審査合格:0件

  やはり、企業出身者(基礎研究部門を除く)は、大学教員になる事は土台無理だったのです。そう結論付けて良いと私は強く思いました。どれだけ仕事を頑張っても、どれだけ学会で発表しても、どれだけ論文を投稿しても、学会誌の解説記事を書いても、純粋培養で生き抜いてきた大学教員には絶対敵わない。それが、この日本における現実です。だから、「今、企業で働いていて博士号を取得しようと考えている人は、博士号を取得した後の人生は、その企業か別の企業で活かすべき」です。決して、教員になろうと思わない方が良いです。私のように、心を病み、面接審査の遠征費用で貯金を崩され、時には大学ではない教育機関勤めで家族を養いきれず借金を抱え、ボロボロの人生を歩む事になるのですから。

 

 今後ですが、私はこの現実を心の正面から受け止め、自分の無力さを心から恨みながら、ひっそりと自分の人生を終わらせて、家族には保険金を残してあげたいと思います…。

 

 誰もこんなblogは読まないでしょうが、こんな人間が世の中にいたとだけ知って頂ければと思います。

 

 …来世はストレートで大学教員になれる人生を歩めたらいいな…さようなら…。

続・家族への説得

 前回の記事を投稿した後、周りから色々と反発をくらって頭を抱えている所です。

 今回は、自分のストレス発散記事です。

 

義母「今の仕事で好きな事をやっているんだから、そのまま居残った方がいいんじゃない?」「どうせ、合格したとしても転職するつもりはないんでしょ?」「またすぐに(義母がいる家の)近場の公募が出るんでしょ?」

内縁の母「(自分がいなくなったら)お父さん、死ぬよ?」

妻「イライラする。なんであんたのせいでイライラさせられなければならないのよ」

 

…義母よ、あなたは何も知らなすぎる。大学の教員になれるというのは、大きなステータスであり、自分が長年積み上げてきた努力の成果でもあり、収入が大きく変わるチャンスなのだよ。自分の専門分野に合致する公募なんて、本当に何年に一度の奇跡かもわからないのに、自分の都合だけでモノ語ってるんじゃないよ。自分はあなたの都合で動く道具じゃないのだよ。

 

…内縁の母よ、そんな脅しで自分のキャリアをわざわざ捨てさせられてたまるものか。

 

…そして、妻よ。お前は義母の影響を受けすぎるのが悪い癖だ。そして、勝手にイライラして旦那に当たり散らすのが最大の欠点だ。確かに、子供の面倒を一手に見てくれている事には心から感謝している。そして、お前が病気で仕事を持続できなくなっているから、人がこうやって収入を大幅に増やして生活を楽にしようと頑張っているのに、その言い草はなんだ。

 

 はっきり言って、「周囲の人間に縛られて、明るくなるはずのキャリアを閉ざされる」事ほど、バカバカしい人生は無いと私は強く主張します。「説得すればいい事」と言う人もいるかと思いますが、世の中には、何を言っても一切聞き入れない人間もいるのです。我が家の場合は、義母がまさにそう。

 そんな事で自分のキャリアが強制終了させられる位なら、自分はとっととこの世から去りたいですよ。で、家族に保険金だけ残せばいいんでしょ?極論、あんたらに金さえ残せば、自分なんていなくなってもいいんでしょ?と、こいつらに強く言ってやりたい。自分はATMか!?

家族への説得

 転職活動をされている方のほとんどが、ご家族への説得で苦労されているかと思います。我が家もです。

 

 転職にあたって、最大の難所はどこだと思いますか?配偶者?自分の実の両親?いえいえ。義父母(特に義母)です。特に奥様の方であれば、なおさらです。

 

 私も、現職へ転職した時は義母に強い難色を示されましたが、とあるきっかけで義母の態度が一気に変わりました。まぁ、なんというご都合主義…。

 

 我が家の場合は、基本的に私自身があれこれ言わないようにしています。口喧嘩では男性は女性には敵わないものですし、うっかり関係悪化につながらないように、全てを妻にお願いしています…。

 

 義母的には、「実家住まい」「実家から通勤出来る所で勤務している」という2点で安心されているようですが、肝心の収入面に関しては「毎月の給与のみでは赤字」で、期末手当での補填でギリギリという状況です。更に、妻が病気で働けなくなっている等の事情も重なり、家計の赤字は膨らんでいます。そういう意味でも、この大学教員への転職というのは、まさにDEAD or ALIVEです。

 

 私にとっての大学教員への転職のメリットは「人生の目標である大学での教育研究活動の実現」「家計の黒字化」「メンタルの大幅改善」という、まさに「自分が心をしっかり保って生きるために不可欠」な事です。デメリットは、実家に残す親の事が気がかりなことと、指導半ばになる学生達に申し訳ないと思うくらいでしょうか。

 どうか、大学教員を目指す方のご家族の皆様には、「大学教員は全国、全世界がリングである」事をご理解頂きたいです。公立小・中・高の教員は各地方自治体内での転勤が多いのですが、大学教員で一カ所に長居出来ない立場の人(主に准教授以下の若手の人)にとっては、キャリアアップ=転職であり、全国、全世界が舞台となりますので。

 

 どちらにしても、本格的な説得のスタートは面接審査の嬉しい結果が1つ以上届いた所からなのですが。これを書いている時点では、まだどちらからも来ていません。

 

 余談ですが、今日は職場の月例会議。オンライン出席になっているので出席(回線をつなぐだけ)はするのですが、ここ数ヶ月、とある教員(私ではありません)の愚痴こぼし会議になっているので、はっきり言って生産性がありません。

 

大学教員の待遇のありがたさ

 …と、タイトルに書くと煽りのように感じますが、実際に大学ではない高等教育機関に携わっている人間から見れば、大学教員を目指すのは至極当然と感じて頂けると思います。

 まずはじめに、この内容は、人口が多い所の私立大学様から頂いたデータを基に、大学様と私自身双方の個人情報漏洩にならないようにしておりますので、書き方にはかなり曖昧にしている点があることをご容赦下さい。

 

  • 基本給
    目安を一言でいえば、役職が変わらない場合でも
    「大学ではない高等教育機関の給与と比べて+5~10万円/月」
    です。
    特に、現在の仕事で博士の学位を拝受されたにも関わらず、人事制度の不備で給料が据え置かれてしまった方は、+10万円/月も決して夢ではありません。

  • 賞与
    「(基本給+家族手当)×月数」です。
    もちろん、大学によって変わります。
    査定が平均レベルでの月数の目安は、「3.5~4.5ヶ月/年間」です。
    民間企業のように5ヶ月以上というのは、まずありません。

  • 家族手当
    国家公務員法に準ずる大学様では、
    ・配偶者:6500円(管理職クラスだと3500円程度)
    ・子:10000円
    となり、これは大学ではない高等教育機関と変わりません。
    ただ、一部の私立大学様では、配偶者の手当がより良い所もあります。

  • 住居手当
    国家公務員法に準ずる大学様の目安は、
    ・~27000円:「家賃ー16000円」
    ・27000~62000円:「家賃ー27000円÷2」+「11000円」
    ・62000円超:28000円(一律)
    となります。
    ただし、家賃に関わらず一律の所もあります。

  • 通勤手当
    基本は、公共交通機関利用は全額支給(上限がある大学様もあります)。
    ただ、これは住居を仕事場に密接させるかどうかで決まります。

  • その他
    大学院科目を担当されると特別手当が追加されることもあります(授業期間中のみ)。

 

…と、このように書いただけでもわかる事実がひとつ…。

「大学ではない高等教育機関から大学教員に転職出来ただけで、年収が100~200万円上がる」

ということです。私のように家庭の事情でローンをたくさん抱えている者としては大変ありがたい話です。

 もちろん、このblogで書いておりますように、大学教員の転職は、ポストが1つの所へ全国から公募戦士が応募して競う世界です。もし、皆さんがこのような状況下でポストに就けたのならば、着任後は採用して頂いた大学に心から感謝しながら恩を返し続けて頂きたいと、私は思います。

 …そういう私ですが、面接審査結果が判明するまで、あと一週間…。
 来週は笑顔か、それとも、もう生きていけないと思うか…。

一区切りがつきました

 前回、話題に挙げました面接審査2件が終了しましたので、この2件の面接審査について、身バレしない範囲でご紹介します。

 

面接審査1:人口が多い所の私立大学様

 人口が多い所の私立大学様です。私の専門分野と完全に合致する学科があります。審査は、学科の教授の先生方がほぼ全員御出席頂いて、プレゼン課題2つのそれぞれでQ&A、その後のフリーQ&Aで色々とディスカッションさせて頂きました。面接して頂いた時間は1.5時間程です。

 自分自身は充実かつやりきったと実感しており、手ごたえは控えめに見ても五分以上。 仮に採用して頂いた場合の雇用条件等についても教えて頂きました。他の候補者の面接審査もあるため、面接審査結果は9月中、遅くとも10月上旬だそうです。

 

面接審査2:日本海側の私立大学様

 技術者育成に力を入れていらっしゃる私立の単科大学様です。私の専門分野の一つに強い教員を募集しており、ダメ元で応募したところ、面接審査となりました。1点触れておくべきは、これは「任期あり」の公募でした。ただし、2年目に任期無し雇用への変更に関する審査が行われます。この大学様では、ほぼ全ての教員がこの審査を乗り越えて働いていらっしゃいます。

 面接審査は、6人の先生方(1人、副学長がいらっしゃいました)を前に、自己紹介&抱負と模擬授業の2つを立て続けにプレゼンし、その後、1時間以上にわたって質疑応答が続きました。途中、鋭い御質問を頂きましたが、全ての質問に回答する事が出来たので、自分としては手応え充分。どんな結果であれ、全てやりきったと感じています。

 この大学様で好印象だったのは、面接審査前に雇用条件について詳しく教えて頂いた事でした。詳細は、身バレになりますので割愛させて下さい。皆さんも、事前に伺う事と良いのではないでしょうか。

 審査結果は、9月末にわかります(判定日も教えて頂きました)。仮に合格した場合は、10月に採用を前提とした学長面接が控えています。

 

 …ということで、月頭にどん底まで気落ちした所から一気に反転して、怒濤の面接審査漬けの半月が経ちました。私は、この半月の経験は人生で忘れられない半月だったと思います。結果がどうであれ…とは言いません。どちらか、もしくはどちらも合格して欲しい…!そして、贅沢な悩みをしてみたい…!そう願いながら、あと半月、本業をちまちまやりながら天命を待ちたいと思います。

 

 …この話を書く前は、今の職場で自分の人権をないがしろにされているような腹が立つ業務指示を受けて、イライラしておりました…。何がなんでも、御縁がある所へ転職したいです。

嬉しい誤算

 前回の記事を書いた翌日('20/9/2)、2カ所から同時に面接審査の御案内を頂きました。半ばあきらめていただけに、嬉しい誤算でした。それから一週間、面接審査で指定された内容のプレゼンテーション資料を仕上げました。1カ所については、ちょうど私が別件で出張していた所から直接お伺いすることが出来たため、先方の計らいで9/9に面接審査を実施して頂きました。面接審査の感触は五分以上(控えめに評価)で、採用された場合の着任ポストや基本的な研究費用などのお話も伺う事が出来ました。今後、他の候補者の面接審査が別日程で行われるため、審査結果は9月中に出る模様です。

 もう1カ所は、一週間後の9/16に面接審査が実施されます。こちらは別のプレゼンテーション課題が出ていますので、この週末はプレゼンテーション資料の作成に忙しくなりそうです。

 

 …有休を使っているとはいえ、こうも遠出の外出が多いと、現職側から不審に思われるんだろうなぁ…。
 (ただでさえ、新型コロナ禍の影響で、私用であれ県外への外出は報告義務が課せられているので…)

いよいよ”詰み”か

 9月に入りました。私の大学教員へ転身するチャレンジも、いよいよ「詰み」が見えてきました。昨日締切の公募3件、先週金曜日締切の公募1件の書類審査結果がどうなるか…。今週中にどこからも御連絡が無ければ「詰み」がほぼ確定となります。

 既に結果が判明している公募のうち、1件は現職場の教員から推薦して頂いたのですが、「査読論文の数が足りないため難しい、と報告を受けた」とのこと。やはり、現職…いや、前職で基礎研究ではない実務経験を積み上げていた時点で勝負はついていたのです。実務家教員が大学教員になれる可能性は総じて万が一の確率であり、今の自分は、絶対に当たらない宝くじをたくさん買っていたようなものだった…と。

 

 さて、書類審査で落ちる順番は、

  1. 専門分野違い:門前払い
  2. 査読論文数不足:足切り
  3. 研究教育実績や今後の抱負の内容不足:生き残った人同士の競争領域
  4. それ以外:不測の事態

となります。私は書類審査に落ちたほぼ全て1か2の理由で落ちています。仕方ないと言えばそれまで。この内容を読んで、私を見下したり、マウントをとりたがる研究者もいるでしょう。残念ながら、それもまた人間の本性です。ただ、それを表に出して攻撃するような研究者は「人間としてたかが知れてる」人と私は考えます。

 大学教員は査読論文至上主義。それに負けた時点で、大学教員になることは金輪際あきらめなければならない。それと、実務家である社会人が博士号を取得する理由として「大学教員になるため」と考えている人は、自分の年齢と家庭状況を踏まえて考え直して欲しい。それが今の私が語れる事です。

 

 このblogは、私が昨年~今年応募した24件の公募の結果が全て確定した時点でまとめを書いて、更新を終了します。そして、これからの世代の人が自分と同じ”しくじり”をしないように*1、Hatena Blogが消滅するまでこの記録を残し続けたいと思います。

*1:まさに「しくじり先生」ですね。